アイドル
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絶望的な状況に陥ると、血液が沸騰しているような感覚になる。 アドレナリンとドーパミンとセロトニンと、その他もろもろでハイになっているからだ。別の言い方をすると、セックスのオーガズムに近い。 わたしは追い詰められ、死 […]
夢界(むかい)の迷宮では、傘が手放せない。 傘がないと迷子になってしまうし、意識を保っていられない。 「それは君の心の象徴なんだよ」 雄猫で三毛猫のシュレディンガーはいった。 「じゃあ、あなたはなんの象徴なの?」 […]
魔族の女魔術師トゥリアンダフィリャは、エルフ族との戦いに破れ、かろうじて逃げのびた。 この世界“エザフォス”で最高の魔術師を自認していた彼女にとって、英雄カイトに刃が立たなかったことは大きな誤算だった。彼は彼女の魔法 […]
気持ちがもやもやしたら、エアーバイクに乗って禁断の海に行く。 ドーム都市から外に出るのは、厳しく制限されていた。ドームの外は大気圧が500hPa程度で、地球での標高5000mに相当する。酸素濃度は高めだが、それでも呼 […]
わたしは小さい頃から、地球を見ながら育ったハスキー犬だ。 ハスキー犬はほぼ絶滅していて、わたしが最後の一頭だろう。だから仲間に会ったことがない。 この記録は誰かが犬を擬人化しているものではない。わたし自身の言葉とし […]
まぁ、世の中いろいろあるわけで。 計画通りにはいかないのだよ。 いい仕事があると、タウ・セチまでひとっ飛びしたのはいいが、ポンコツ宇宙船がバグってしまって、ワープできなくなっちまった。 帰りはどうすんだよ? 踏 […]
彼らは古風なドーム状のホールに辿り着き、年代物のダイアル式電話を見つけた。 ホールのど真ん中の床に置かれた電話は、あまりにも場違いであり、それが特別な物であることを示唆していた。 「骨董品の電話なんて、これを使えって […]
ホーン族は生まれながらの戦士だ。 男も女も、立って歩けるようになった赤子のときから戦う術を身につけていく。頭に角が生え始めるのは3歳頃からで、一人前になる10歳頃には戦士らしい角になる。 角の形で家系がわかる。 […]
死後じゃなくて、生きているときに彼女と出会いたかった。 サイバーお台場をブラブラしていたら、ゴスロリ・ファッションの彼女に呼びかけられた。 「あのー、ここはどこなんでしょうか? 渋谷に行きたいんだけど」 「はぁ? こ […]
わたしが育ててきたグリフィンの子供が飛べるようになった。 この子の名前はグリ。グリフィンは人になつかないといわれていたけど、わたしには犬のようになついている。でも、大きくなったら野生の本能に目覚めるかもしれない。それ […]
水星の地下都市では、空気と水はゴールドと同等の価値がある。 カロリス盆地の地下に建設された、水星最大の地下都市「カロリス・ヘブン」は、35層もの深さを誇る。垂直断面がスズメバチの巣に似ていることから、アルウス(alv […]
ジュラ紀後期(約1億5,500万年前)の地球に降り立ち、ステゴサウルスの群れに出会った。 ワープ宇宙船にタイムマシン・コアを搭載することで、タイムトラベルの運用が可能になった。タイムマシンの発明者である故ウェルズ博士 […]
それは突然出現した。 空が文字通り「割れて」、冷気のように陰(いん)世界が流れこんできた。 「陰子(いんし)」と呼ばれる、陰世界を構成する素粒子は、こちらの世界に直接の干渉はしないが、じわじわと浸食していく。ダーク […]
魂のないわたしの自我に、銀河のダークマターが囁きかけてくる。 我々は、太陽系から2万5000光年あまり、銀河系中心宙域の探査にやってきた。 このあたりは星々の距離が近く、ダークマターの密度も濃い。銀河中心のブラック […]
ウルティマ・トゥーレ(Ultima Thule)の夜空では、衝突する銀河の壮大なイベントが進行中だ。 世界の果てを意味するこの惑星は、天の川銀河から2億光年ほど遠くの銀河系にある。地球からもっとも遠い入植地のひとつだ […]
花々が光る夜に、三人の巫女は水神(アープ)に祈りと操を捧げる。 雪解け水が大地に潤いをもたらし、草木は花を咲かせ、生きものたちが躍動を始める春。冬を堪えた人々にも、喜びと解放の季節が訪れた。 春の祝祭は、一年の始ま […]
亜光速で飛ぶ宇宙船の前方には、星虹(スター・ボウ)が鮮やかなリングを描く。 人類初の反物質エンジンを搭載した恒星間宇宙船「スペース(Spes)」号。名前はラテン語の「希望」と英語の「宇宙」をかけあわせたもの。 地球 […]
人間のサラとエルフのアステールが並んで立つと、大人と子供ほどの体型の違いがある。 サラの身長が175cmに対して、エルフは小柄で身長150cmほど。アステールは少女のような顔と体型だが、年齢は40歳を超 […]
双子の赤い太陽が沈み、三つ目の月が昇る、新年を迎えた日。 500年に一度の、大魔術祭が執り行われる。これはただの祭りではない。世界の命運がかかった重要な儀式だった。 魔法は世の理(ことわり)を歪曲し、生じる歪みから […]
第5110ロボット小隊は砂漠の惑星「パラディースス(paradisus)」に降下した。 小隊のコールサインは「ブラック・クロタリッド」である。我々の任務は、惑星を荒らす「宇宙バッタ(スペースホッパー)」の殲滅だ。 […]
この世界“エザフォス”には、人知れず地下世界(ヒュポゲイオン)が網の目のように広がっている。 ヒュポゲイオンに住む種族のひとつが、翡翠地人(ジェイド・エルフ)だ。翡翠のような緑色の肌をしていることから、そう呼ばれる。 […]
砂漠の強い日差しと暑さの中を、エイジとカオリは重い足取りで進む。 ふたりが出口へのマップを辿って、行き着いたのが砂漠だった。 「こんなところに、出口があるのか?」彼は半信半疑だった。 「暑い、歩きにくい、シャワー浴び […]
わたしは森を守護する森の女王。 7つの大陸に7人の森の女王がいた。わたしはサッピールス(Sapphirus)大陸の森を守護している。 森の女王は、森とともに長い年月を生きる。森の生命力が、女王の霊力の源だ。 わた […]
「日出ずる国より、碧き戦士が魔を討ちに来たる」 語り継がれた伝説が、新たな歴史のページを綴り始める。 戦士のカイトは、西の山脈の魔族を殲滅し、アリスィア王国の英雄となった。 異世界に召喚されるという、ファンタジーも […]
火星(マルス)のプリンセスのリン・ソリスは、火星から脱出した。 クリュセ王宮は大騒ぎになった。プリンセスはクリュセ王国の要だったからだ。彼女がいないと、マルスは国家間のバランスを失い、戦乱と崩壊の危機に瀕する。 次 […]
男のピクシーに孤独はつきものだ。 ぼくらの種族は、女の方が多くて男は少ないからだ。女たちは群れるが、男はひとりで森を彷徨う。男が必要とされるのは子作りの季節だけなんだ。 ぼくが森の中でたたずんでいたら、ひとりの人間 […]
戦いの末、ノトス国の玉座を手に入れたが、達成感より虚しさを感じた。 キングはあらゆるものを手に入れられる。権力、領土、金、美食、そして女。それが前キングを倒した挑戦者の報酬だ。 オレはティグリス。ついに頂点に立った […]
目が覚めると、わたしは砂浜のベッドの上で、熱気を含んだ潮風に吹かれていた。 「え? なに? どうなってるの?」 頭はぼんやりしていて、事態を把握できなかった。 砂浜の波の音がサラサラと非現実感を醸し出している。f分 […]
ダークマターが数倍濃い宙域である暗黒沼(ダーク・マドゥ)に、あるはずのない漂流宇宙船を発見した。 ダーク・マドゥは別名“サルガッソ宙域”といわれる。濃いダークマターの重力によって、放浪惑星や大小様々な小惑星、さらには […]
新宿地下ダウンタウンで、サイバー・ライブ(略してCy-Li)の配信をする。 Cy-Liは3Dホログラムメディアで、視聴者はロケ地にいるかのようなリアル感を味わえる。立体映像と音だけでなく、匂い、温度、風の感覚まで再現 […]