2021-02-27
Past Posts (random select)
ウルティマ・トゥーレ(Ultima Thule)の夜空では、衝突する銀河の壮大なイベントが進行中だ。 世界の果てを意味するこの惑星は、天の川銀河から2億光年ほど遠くの銀河系にある。地球からもっとも遠い入植地のひとつだ […]
それは突然出現した。 空が文字通り「割れて」、冷気のように陰(いん)世界が流れこんできた。 「陰子(いんし)」と呼ばれる、陰世界を構成する素粒子は、こちらの世界に直接の干渉はしないが、じわじわと浸食していく。ダーク […]
電脳墓地(サイバー・セメタリー)に格納されたわたしは、死んでいるのか生きているのか自分でもわからない。 肉体は死んだ。その記憶はあるし、自覚もしている。 でも、わたしはここにいて、自意識はあるしアバターとしての体も […]
巨大な太陽を間近に見ていると、イカロスになった気分。 わたしがいるのは、水星軌道の内側を回る人工惑星“バルカン”だ。バルカンは、19世紀に仮想された惑星だったが、観測技術の発展により実在しないことが判明した。 今日 […]
彼らは古風なドーム状のホールに辿り着き、年代物のダイアル式電話を見つけた。 ホールのど真ん中の床に置かれた電話は、あまりにも場違いであり、それが特別な物であることを示唆していた。 「骨董品の電話なんて、これを使えって […]
眠っている間に魔法が発動してしまったらしい。 気がついたら、わたしは宇宙船の中にいた。なぜかお気に入りの熊のぬいぐるみと一緒に。 わたしはショーツに彼のシャツを着た格好。 「ちゃんとパジャマを着ておくんだった!」 […]
サイボーグは、機械化された肉体の割合に応じて、魂が削られる。 わたしの場合、臓器のほとんどと骨と筋肉の一部が人工物に置き換わっている。その割合は60%だ。つまり、わたしの魂は40%になっているわけだ。 戦場で負傷し […]
空虚に落ちると、苦痛や恐怖を感じなくなる。 意識がみじん切りにされるかのように、茫漠とした感覚だ。 宙に浮いているのに、重力に引かれる感触もある。 意味不明な光景が目に入り、押しつぶされそうな不自由がまとわりつく […]
初めて味わう絶望は、二酸化チタンの味がした。 彼らは突然、なんの前触れもなくやってきて、予告なく攻撃してきた。 わたしたちは異星人に侵略された。 植民星スワン5は、太陽系から11.4光年の「はくちょう座16番星B […]
レイカは古い城塞跡で、ラプトリアンの群れに遭遇した。 彼女は油断していた。ここは彼らのテリトリーから離れていたからだ。 とっさに彼女はマジックシールドを張った。 異次元融合(クロス・ディメンジョナル・フュージョン […]
火星(マルス)のプリンセスのリン・ソリスは、火星から脱出した。 クリュセ王宮は大騒ぎになった。プリンセスはクリュセ王国の要だったからだ。彼女がいないと、マルスは国家間のバランスを失い、戦乱と崩壊の危機に瀕する。 次 […]
ミューズのウーラニアー(Urania)は、金色のペガサスの子供と戯れる。 9人のミューズのひとりであり、占星術と天文を司る。言い換えると、未来と宇宙の事象を見守り、ときには介入する。人間界との接点は多く、国王や神官ら […]
わたしはもうすぐサナギになる。 適齢期になり、生まれ変わりの準備をしないといけない。 巣穴に入る前に、男と交わって身ごもる。 そしてサナギとなり、5年の月日をかけてドラゴンに変態するのだ。 竜族は卵から人間の姿 […]
わたしは森を守護する森の女王。 7つの大陸に7人の森の女王がいた。わたしはサッピールス(Sapphirus)大陸の森を守護している。 森の女王は、森とともに長い年月を生きる。森の生命力が、女王の霊力の源だ。 わた […]
久しぶりの休暇は、プロキオンAの第六惑星「パピィ(Puppy)」のビーチで過ごす。 地球から11.46光年だが、恒星間ゲートを使えば1日で行ける。ゲートがなかった時代は、低速ワープで何年もかかっていたなんて信じられな […]
砂漠の強い日差しと暑さの中を、エイジとカオリは重い足取りで進む。 ふたりが出口へのマップを辿って、行き着いたのが砂漠だった。 「こんなところに、出口があるのか?」彼は半信半疑だった。 「暑い、歩きにくい、シャワー浴び […]
うたた寝していたカオリは、腹に響く恐竜の咆哮で目が覚めた。 恐竜はすぐ近くにいるようだ。 「エイジ……」 「しっ。ティラノサウルスがハドロサウルスを襲ってるようだ。やつらの嗅覚は優れてるからね、ぼくたちの臭いも嗅ぎつ […]
わたしが育ててきたグリフィンの子供が飛べるようになった。 この子の名前はグリ。グリフィンは人になつかないといわれていたけど、わたしには犬のようになついている。でも、大きくなったら野生の本能に目覚めるかもしれない。それ […]
気持ちがもやもやしたら、エアーバイクに乗って禁断の海に行く。 ドーム都市から外に出るのは、厳しく制限されていた。ドームの外は大気圧が500hPa程度で、地球での標高5000mに相当する。酸素濃度は高めだが、それでも呼 […]
カイトとサラは、竜馬(ドラゴン・ホース)に乗ってアリスィア王国の王都に向かっていた。 ふたりはすっかり打ち解けていた。 「王都に着いたら、まず清潔で綺麗な服を調達したいわ。この薄っぺらいシーツは、もうこりごり」彼女は […]
カオリとエイジはエアバイクを飛ばして、海に水没した都市に辿り着いた。 まるで地球温暖化で都市が沈んだような光景だが、VRワールドにそのような設定の世界はない。別々のVRワールドが重なり合った結果だ。 ふたりはエアバ […]
人魚族(マーメイド)のルベル(Ruber)は、波の穏やかな入り江で物思いにふける。 マーメイドは10〜15人ほどの群れで行動する。暖かい南洋の島々の間を海流に乗って移動しつつ、狩りをしたり子育てをしたりする。 彼ら […]
ついにタイムマシンの実用に成功した……はずだった。 実験は成功し、過去に飛ぶことはできた。 しかし、戻ることができなくなった。 これは誰かが見つけてくれることを期待して、残しておくメッセージだ。 「タイムトラベ […]
カオリがビーチでくつろいでいたら、いきなり恐竜に出くわした。 「え? なに? そういうシナリオだっけ?」 彼女の選んだVRワールドは、ハワイのラニカイ・ビーチ。そこでのんびりと過ごす予定だった。 「ログアウト!」彼女 […]
わたしは接敵し、ブロックチェーンの尻尾に偶奇虫(パリティ・ワーム)を突っ込んでやった。 暗号空間(クリプト・スペース)では、暗号は盾であり矛にもなる。しかし、前時代の遺物であるブロックチェーンは、あまりにも鎖が長すぎ […]
拡張を続けるサイバーユニバースには、実際の宇宙のように空虚(ボイド)が発生する。 ボイドは荒涼としているが、「無」ではなくノードが極端に少ない空間だ。身を隠すには好都合だが、攻撃を仕掛ける場合には選択肢が限られる欠点 […]
ダークマターが数倍濃い宙域である暗黒沼(ダーク・マドゥ)に、あるはずのない漂流宇宙船を発見した。 ダーク・マドゥは別名“サルガッソ宙域”といわれる。濃いダークマターの重力によって、放浪惑星や大小様々な小惑星、さらには […]
エイジが目を開けると、サイバータンクの中だった。 「戻れたか……」 安堵とともに強烈な疲労感に襲われた。これほど長い時間、サイバータンクに入っていたことはなかったからだ。体の節々が痛く、頭もスッキリしない。 タンク […]
わたしは小さい頃から、地球を見ながら育ったハスキー犬だ。 ハスキー犬はほぼ絶滅していて、わたしが最後の一頭だろう。だから仲間に会ったことがない。 この記録は誰かが犬を擬人化しているものではない。わたし自身の言葉とし […]
彼女は量子の世界で生まれた。 “彼女”というのは、正しくないかもしれない。その存在に生物学的性別は、意味がないからだ。女性として見ているのは、観察者であるわたしの選択だ。 彼女は意図せず生まれることになった。誰も想 […]